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法律から見るバイト求人募集の書き方

「体力のある男性歓迎」「徒歩で通勤できる方」「ヒゲ・長髪不可」。つい求人・募集原稿に書きがちなこれらのワードは、実はいずれも法律違反です。求人媒体に原稿作成&チェックを任せる場合はさておき、自分で原稿を作る場合は、「書いてはいけないこと」「書くべきこと」を知っておかないと、法に触れた内容を掲載してしまうことも。そこで、求人や雇用の法律に詳しい行政書士の小山内怜治先生に、アルバイト募集における原稿作成時の注意点を伺いました。

求人・募集原稿に関する法律には何がある?

求人時に関係する法律にはいくつかありますが、基本的に覚えておきたいのは、大きく分けて以下の3つです。

募集原稿に関連する法律3つ

●雇用対策法

求人における年齢制限の禁止などを定めた法律

●男女雇用機会均等法

職場での男女平等などを定めた法律

●職業安定法

企業による労働者募集などについて定めた法律

「3つの法律が労働者の権利を守っています」

「3つの法律が労働者の権利を守っています」

上記の法律は、一言でいえば“労働者の権利を守る”ためのもの。本来、雇用者側には自由に採用基準を決めてよい“採用の自由”がありますが、募集の段階に限っては求職者側の権利が尊重されます。

わかりやすくいうと、「募集する段階では募集要件は最低限にとどめ、なるべく求職者への門戸を広く設けて、応募できる機会を与えましょう」ということです。

これらの法律は、新聞や雑誌などのメディアに載せる求人広告はもちろん、店長自らが書いて店頭に貼り出す求人・募集チラシからヘッドハンティングにまで、広く適用されます。

年齢・性別・国籍・地域……“限定”はNG!

先に述べた3つの法律によって、年齢や性別、国籍、居住地域など、応募者を“限定”する募集の仕方は、原則として禁じられています。冒頭の「体力のある男性歓迎」「徒歩で通勤できる方」は、この“限定”にあたるため、法律違反なのです。

また、資格の有無を要件に掲げる際も、時として“限定”にあたる場合があるので、注意が必要です。もちろん、配送の仕事で「ドライバーは運転免許必須」、薬局の仕事で「薬剤師資格必須」など、職務上必須の資格であれば問題ありません。

ただし、「必須ではないけれど、持っていてほしい資格」は、資格を持たない求職者を排除しかねないため、記載するのは不適切。そんな時は、「○○の資格を取得している方」ではなく、「○○の資格“程度の能力”がある方」と、能力を求める記載に変えれば、法律上の問題を回避できます。

“限定”にあたる募集原稿のNGワード例

  • 年齢を限定する「25歳以下まで」
  • 性別の限定を示唆する「男性(女性)歓迎」
  • 国籍を限定する「日本人のみ」
  • 地域を限定する「徒歩で通勤できる方」
  • 必須ではない資格を求める「簿記2級をお持ちの方」

「仕事に必要な能力」や「客観的事実」なら記載OK

「“限定”にあたらないような書き方を選べば、求める人物像をきちんと伝えることができます」

「“限定”にあたらないような書き方を選べば、求める人物像をきちんと伝えることができます」

“限定”でNGになるのは、資格や経験についての項目だけではありません。「ヒゲ・長髪不可」や「明るくハキハキした方歓迎」といった外見や性格に関することも“求職者の限定”にあたるため、基本的には違法です。

「そんなことを言ったら何も書けないじゃないか!」という声が聞こえてきそうですね。残念ながら、まさにその通りなのです。募集側が「こんな人が欲しい」と思い描く応募者像は、法的に認められている例外を除いてほとんどが“限定”にあたります。

では逆に、「書いてもいいこと」とは何でしょうか?

例えば、体力のある若い男性を募集したい時。「体力のある若い男性歓迎」と、そのまま書いてしまうと“限定”に該当してしまいます。

この場合は、「20代の男性が多い職場です」といった“客観的事実”や「○キロ程度の荷物を運ぶ仕事です」という仕事柄“必要となる能力”を提示する書き方に変えれば、法的に問題はありません。事実を伝えることで、「求職者自身に、自分にできる仕事か否かの判断をゆだねる」のがポイントです。

「労働条件」の記載は必須

求人原稿には、「書かなくてはならないこと」もあります。そう、「労働条件」の項目です。時おり、求人広告で「委細は面談にて」とぼかした表現を目にすることもありますが、実はこれも法律的に見るとNGです。

というのも、「職業安定法」では、「求人を行う時は、求職者がわかりやすい言葉で、業務内容、賃金、労働時間などをハッキリ明示しなければならない」と定められているのです。

そこで、募集時に書くべき基本的な内容を、厚生労働省令をもとにまとめてみました。

「広告内に書ききれなかったことは、自社サイトなどで情報を補足するとよいでしょう」

「広告内に書ききれなかったことは、自社サイトなどで情報を補足するとよいでしょう」

 労働条件として書くべきこと6つ

  1. 業務内容
  2. 労働契約の期間
  3. 就業の場所
  4. 始業&終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日
  5. 賃金の額
  6. 雇用保険の適用

特に、トラブルになりやすいのが「(5)賃金の額」の記載です。

たまに「時給900円~1,500円」と額に幅を持たせた記載を見ますが、この額と求職者が実際にもらえる賃金の額とギャップがあった場合は、トラブルに発展しかねません。実際に訴えられて慰謝料の支払いを認められたケースもありますから、賃金はなるべく実際に近い金額を記載しましょう。求人広告のスペースにすべての項目を書ききれない場合は、例えば自社サイトにて情報を補足するなど、求職者へ配慮することをおすすめします。

法律違反の求人・募集原稿を貼り出してしまったら?

出稿する求人情報媒体に記事制作を委託すれば、媒体側が内容を厳しくチェックし、違法にあたるNG要素を省いてくれます。しかし、自分で原稿を作成する場合は、知らずにNG原稿を書いてしまうケースもあるでしょう。

違法な求人・募集原稿をインターネット上や店頭などでうっかり掲載してしまうと、読んだ人から直接クレームが入るのみならず、行政に報告されることもあります。

行政は、違法な広告を出した企業に対して、まずは改善命令を出すのが一般的。従わなければ、刑事罰や過料などが発生します。もしもクレームや改善命令を受けたら、すみやかに修正してください。

文章、写真、ロゴなどの著作権にも要注意!

ここまでは“労働者を守る”法律を見てきましたが、求人・募集原稿を作る際には「著作権」などの“制作”にまつわる法律も知っておきたいものです。

「求人広告にも著作権は発生します」

「求人広告にも著作権は発生します」  基本的に、文章、写真やイラスト、ロゴ画像など、すべての制作物はその作者に権利が発生します。「インターネット上でイメージにピッタリの画像を見つけたから」、あるいは「作りたい原稿に似た募集記事があったから」無断で使用したり転載したりするのは、当然アウトです。

近年、こうした例が露見してネット上で炎上するケースが後を絶ちません。著作権のペナルティは厳しく、著作者から多額の賠償金を求められることもあるため、十分にご注意ください。

もちろん、制作物の使用許可をもらったり著作権を譲り受けたりしている場合は、それを自由に使用できます。ブランド名や特定の商品名も、原稿内で使用する際は、権利を持っている企業や著作者に許諾を得ておきましょう。

また、求人広告の制作を外注のカメラマンやライターなどに委託する時は、本来の著作権は外注先に発生します。そのため、制作物は著作権ごと「買い取る」のが一般的。著作権を譲ってもらう旨を記した契約も、あわせて交わしておきましょう。

求人・募集原稿が完成したらチェックすべきこと

求人・募集原稿が完成したら、掲載前にもう一度見直してみましょう。法律で定められた基本的なNG項目を下記にまとめました。

求人・募集原稿の基本的なNGチェックリスト

  • 「25歳以下」など年齢を限定する表記はない?
  • 「男性歓迎」など、一方の性別の採用を示唆する表記はない?
  • 「ヒゲ・長髪不可」など、応募を制限する表記はない?
  • 「徒歩で通勤できる方」など、地域を限定する表記はない?
  • 「3年以上の実務経験」など、経験者に限定する表記はない?
  • 文章の盗用や画像の無断使用をしていない?
  • ブランド名や商品名を勝手に使用していない?

なお、これらは業務内容によっても適用される法律が異なります。なかには“適法な例外”として認められることもあるため、以下の資料もぜひ参考にしてみてください。

求人・募集原稿作成時の参考資料

その募集・採用年齢にこだわっていませんか?」(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other16/dl/index03.pdf

男女均等な採用選考ルール」(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/rule.pdf

小山内行政書士事務所 小山内 怜治

小山内 怜治 /Reiji Osanai

小山内行政書士事務所代表
契約書作成業務を専門とし、契約実務を主軸とした、ビジネスモデルの明確化、業務プロセスの効率化、リスク対策等の企業向けコンサルティングを行っている。著書に『改正労働者派遣法とこれからの雇用がわかる本』『実務入門 これだけは知っておきたい契約書の基本知識とつくり方』がある。

小山内行政書士事務所 http://www.office-osanai.com/

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