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アルバイトのやる気を引き出す 「人事評価制度」活用ガイド

店舗の売上を伸ばすには、現場で働くスタッフのモチベーションアップが不可欠。昇給制度を導入したり、スタッフの呼称を工夫したりとさまざまな施策がありますが、今回は正社員におなじみの「人事評価制度」に注目。作り方や運用法など、正社員の場合と異なる点はあるのでしょうか? 経営計画から人材教育までを手掛ける「新経営サービス」のコンサルタント・森谷克也さんに、アルバイト・パート用の「人事評価制度」について伺いました。

そもそも「人事評価制度」とは?

人事評価制度は、スタッフを褒めて、やる気を引き出すために活用しましょう

人事評価制度は、スタッフを褒めて、やる気を引き出すために活用しましょう

 極端な話、どれだけ時給がよかったとしても、組織の中で“認められている”と感じられなければ、モチベーションは上がらないものですよね。努力や成果を認めてほしいと思うのは、アルバイトやパートのスタッフであっても同じです。

アルバイト・パートを雇用する企業から受ける相談のなかには、「ふさわしい賃金や待遇を用意しているはずなのに、熱心なスタッフが次々と辞めていく……」というものも。

これらの企業に共通するのは、社員がアルバイトスタッフを「バイト君」などと呼ぶほか、勤続年数で一律に昇給するなど、働く側の承認欲求に無頓着な点です。

一方で、スタッフの呼称を「キャスト」や「クルー」と変えたり、スキルによってリーダーに任命し、賃金に差をつけたりして承認欲求を上手に満たし、サービスの向上へとつなげている企業もあります。

このように、承認欲求に着目した手法にはさまざまな種類があり、なかでも現場に取り入れやすく、効果を実感しやすいのが「人事評価制度」です。

一般的に、「人事評価制度」は正社員に対して用いられるものです。そして、多くが各社員の能力に対し、適正な処遇を維持することを目的としています。

しかし、アルバイト・パートに対して導入する場合は、スタッフのやる気アップが最大の目的。それぞれのスタッフの長所をきちんと褒めて、働き甲斐を感じてもらうために行うのがポイントです。

この制度の良いところはスタッフの“やる気アップ”に限りません。その他の導入のメリットをご紹介しましょう。

“やる気アップ”の他にもある! 「人事評価制度」のメリット

●仕事ぶりを“見える化”することでサービス向上につなげられる
気持ちいい接客や気配りなど、アルバイト・パートに求められる抽象的な要素を数値化することで、各スタッフの苦手分野が明確になり、努力目標の設定に役立つ。その結果、店舗全体のホスピタリティを高めていける。

●勤務態度やスキルに応じて、公平な形で処遇に差をつけられる
処遇が一律だったり、不公平だったりすると優秀な人ほど不満をためやすい。人事評価制度によって、勤務態度の良好なスタッフ、あるいはスキルの高いスタッフが明確になり、処遇に差をつけやすい。

●スタッフとの大切なコミュニケーションツールになる
自身の努力に対して、正当な評価を得られることはスタッフにとってうれしいこと。面談の形で真剣に伝えることで、より強い信頼関係を築くことができる。

 

企業や店舗が取り入れている「評価制度」の実例

「人事評価制度」と一口に言っても、内容や運用方法は企業や店舗によって千差万別。何を評価するかによって、制度の名前も変わります。そこで、実際にある評価制度の中から代表的なものを3つご紹介しましょう。

実際に取り入れられている「評価制度」3種類

●一定期間の勤務態度を評価するオーソドックスな「人事評価制度」
基本的な対応やチームワークといった日々の勤務態度を、“よくできている=3点”“普通=2点”“できていない=1点”のように数値で評価する制度。評価の点数によって、時給アップやバイトリーダーといった役割を用意するなど、処遇に差をつける。

●どのくらい難しい仕事ができるかを評価する「グレードランク制度」
「基本的な仕事ができる=Aランク」「担当部門のスケジュールを組むことができる=Bランク」など、スキルでランクを決定する制度。各スタッフへはランクに応じた時給が支払われる。

●専門性やスタッフの長所を評価する「マイスター制度」
「笑顔マイスター」や「スピードマイスター」など、特定の専門性に対して承認を行う制度。マイスター1つにつき★1つとして名札やバックヤードに貼ったり、★の数でエプロンの色を変えたりして、獲得している評価を公にする店舗や企業もある。

スタッフたちへの評価は、「時給」や「役職」、「インセンティブ」などに反映するのが一般的ですが、その他に“ごほうび”を用意するのも一つの手段。

店舗や企業によっては「他店視察制度」といって、優秀な成績をおさめたスタッフに「リッツカールトンホテルに宿泊し、ホスピタリティを学んでもらう」など、報奨を兼ねた遠方の同業他社の視察をスタッフ教育に役立てているところもあります。

一般的な「人事評価制度」の作り方

さて、アルバイト・パートスタッフを対象とした「人事評価制度」の中で、最も取り入れやすいのが勤務態度を評価するオーソドックスなタイプです。これは、職能レベルや特定のスキルではなく、勤務態度や向上心、チームとの協調性、シフトへの貢献などで評価するのが特徴です。

●コンビニエンスストア 人事評価シートサンプル

上記は、コンビニエンスストアで使われている人事評価シートのサンプルです。業種によっても作り方は異なりますが、まずは基本となる作り方をご紹介しましょう。

「人事評価シート」作成の3ステップ

(1)スタッフの評価要素を洗い出す
ポイント:複雑&過剰な項目は運用に差し障るため、シンプルな言葉で、項目を増やしすぎないようにするのがコツ。10項目もあれば十分。

(2)評価として「着眼点」を記載する
ポイント:「ここまでできれば3点」「ここまでなら2点」というように点数基準まで決められるとよい。3カ月以上無欠勤なら1点、さらに遅刻もしていなければ2点という具合。

(3)重要度が一目でわかる「ウェイト」を設定する
ポイント:大切にしたい評価項目は配点のウェイトを高く設定する。人によって差がつきやすいような項目を高めにしてもOK。

なかでも「ウェイト」は、管理側が何を大切だと考えているか、スタッフに何を求めているのかという意思表示にもなります。ぜひ設定してみてください。

人事評価シートは、業種ごとにカスタマイズを!

上記ではコンビニエンスストアの人事評価シートを例に挙げました。しかし、業界によって「評価項目」や「評価のポイント」、「ウェイト」は大きく異なります。

主な評価ポイントの違いを、「フード系接客業」「販売・サービス系の接客業」「コールセンター系」「清掃、運輸、軽作業系」、以上4つの業種別に見てみましょう。

業種ごとに異なる主な評価ポイント

●フード系
衛生観念の欠如や食中毒が致命傷になる“フード系接客業”は、衛生管理を徹底するためにも「衛生面」の項目はマスト。「専門知識の探求(アレルギーやアルコールに対する知識)」や「追加オーダーを取りにいく姿勢」などの項目も重視したい。

●販売・サービス系
仕事のメインを占める「販売力」を評価するために外せないのが「売り上げ実績」の項目。昇給制度やインセンティブ制度と組み合わせれば、販売力のあるスタッフのモチベーションを高められる。

●コールセンター系
電話口での応対がすべてといっても過言ではないコールセンター系は、「言葉づかいは適切か」といった基本事項、あるいは人によって差がつきやすい「お客様を怒らせた回数」などを評価項目に含めるとよい。

●清掃、運輸、軽作業系
接客業や販売業に比べて、仕事の質を比較しにくいため、普段の勤務態度を細かく評価するスタイルは不向き。グレードランク制度のように「指示をもらえれば基本はできる」「配置を考えた指示ができる」などの職能でざっくりと評価するスタイルの方が運用しやすい。

 

もちろん、上記は一例に過ぎません。業界や職種、部門などを考慮しながら、何を一番大切にすべきかによってシートをカスタマイズしてみてください。

「人事評価制度」は継続が命!

これらの評価は、半年に1回など、定期的に行うのがポイント。ただ、多忙な人事担当者にとっては、この評価制度が負担になりがちです。最初はなんとか運用できていたものの、だんだんと滞り、数回でやめてしまう会社や店舗も少なくありません。

まずはシンプルな評価制度から。運用し続けていくことが大切です

まずはシンプルな評価制度から。運用し続けていくことが大切です

  しかし、制度をころころと変えると、スタッフは不信感を抱きますから、長く継続することを心がけてください。そのためにも、モットーは「できるだけシンプルに」! 必要最低限の項目を作ることから始めていきましょう。

スタッフの人数が多く、全員を評価することが難しいなら、評価を“自己申告制”にして対象者を絞るのも有効です。人事評価制度に参加するための最低基準を設け、それをクリアしていると自己申告してきたスタッフのみを評価しましょう。

また、私のクライアントの中には、専門の調査会社にチェックをお願いしているところもあります。覆面調査員が職場に赴き、実際に接客を受けて、その様子を調べるのです。

第三者によるチェックには、主観的な評価を防げるというメリットもあります。より公正な評価をするために、パートやアルバイトのリーダーとダブルチェックをする会社も少なくありません。人間関係などが評価に響きそうだと思ったら、公平性のあるチェック体制を設けておきましょう。

本人へのフィードバック時の注意点

結果のフィードバックは、重要な最終ステップです

結果のフィードバックは、重要な最終ステップです

 人事評価制度の仕上げとなるのが、本人へのフィードバックです。スタッフが頻繁に出入りする休憩スペースや慌ただしいバックヤードではなく、二人とも落ち着いて話せる空間で、きちんと向かいあって座り、面談の形で評価結果を伝えてあげてください。

すでに客観的な数値やランクが明記されているため、フィードバックは誰にでも可能ですが、最も適しているのは実際に評価を下した人物。たとえば店長や直属の上司です。なぜなら、このフィードバックはスタッフとの絆を深める点でも役立つからです。

何ができているか、何ができていないのか。それを“見える化”することが大切なのはすでに述べたとおりですが、一番の狙いはスタッフにやる気を出してもらうこと。「あなたはここが素晴らしい!」と、まずは褒めてあげてください。

また、面談の際は、できれば本人の話をゆっくり聞けるだけの時間を確保しましょう。これは、雇用契約書を更新するタイミングでもいいと思います。スタッフが普段は見せない気持ちやスタッフ間の人間関係、表面化していない問題は、真剣に聞く姿勢を見せないと入ってこない情報です。

ぜひ、「人事評価制度」を上手に使って、スタッフとの信頼関係を築くと同時に、今まで以上のやる気を引き出していってくださいね。

 

新経営サービス 経営コンサルタント 森谷克也

森谷 克也 /Katsuya Moritani

中小企業の成長を下支えする「組織・人事戦略」が実行できるよう、人事システム構築や人材教育のコンサルティングを行っている。また、カタチや理論に囚われないコンサルティングを身上とし、現場重視で培った独自のソリューションも多く開発する。 著書に『業種別人事制度2 小売・飲食業』(中央経済社)がある。

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http://www.skg.co.jp/index.php

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