このリピート意向とその理由を知ることで、採用・募集活動において、業界内・外のどちらに、どのようなポイントをアピールするべきかの指針となるだろう。
INDEX
3 販売
それでは次に販売をみてみよう。
下表3-1の縦棒グラフ(青色)は、現在は販売以外の仕事に従事しているが、次の就業では販売を希望している層の、その希望理由である。彼らは、『2.フード』の項でも説明したとおり、「次も同じ職種(販売)で働こう」と考える人の割合が少ない販売業界にとって重要な採用ターゲットだ。また、現在すでに販売に従事しており、次も販売を希望している人の理由も、折れ線グラフで示した。
これを見ると、他業種から販売を希望する層にとって、「仕事内容に興味がもてそう」「いろいろな経験ができそう」といった点が、販売という職種・業界の魅力となっていることが分かる。また、すでに販売に従事している層に比べて、「友達や仲間が増えそう」というのもやや高い。
では、実際の仕事選びではどのような条件がポイントになるのだろうか。下表3-2をみてみよう。
現在販売以外に従事し次は販売を希望する層では、「興味のある仕事内容であること」がトップ。僅差で「勤務地が自宅から近いこと」が続く。また、現在すでに販売に従事している層と比べると、「給与が高いこと」が低く、「自分にもできそうな仕事であること」がやや高い。
他業種から販売を希望してくる層は、上グラフ(表3-1)にも表れているように「仕事内容への興味」が大変大きなポイントとなっており、給与は二の次という姿勢がかいまみれる結果となった。
最後に、現在すでに販売に従事している層が抱く、仕事への不満点をみておこう。次は他業種に就きたいと希望している層では、「給与が低い」「ボーナス・歩合など通常の給与以外の収入がない」「楽でない・疲れる仕事」が不満の上位項目。こうした点の解消が、離職を防ぐことにつながるだろう。
以上、販売業界において、他業種から積極的に採用していくためには、「給与・収入」のアピールよりも、その仕事がいかに“自分向けだ!”“興味ある!”と思ってもらえるかがポイントとなりそうだ。そのためには、今現在イキイキと販売で働いている人の様子や、仕事が面白い・楽しいと思えるシーンを伝えていくことも効果的だろう。
4 軽作業・ラインスタッフ
次は軽作業・ラインスタッフ。
下表4-1の縦棒グラフ(青色)は、現在は軽作業・ラインスタッフ以外の仕事に従事しているが、次の就業では軽作業・ラインスタッフを希望している層の、その希望理由である。前項までの繰り返しになるが、「次も同じ職種で働こう」と考える人の割合が少ない職種にとって積極的に採用を考えるべき層。
これを見ると、他業種から軽作業・ラインスタッフを希望する層にとって、「仕事内容が自分にあっていそう」「仕事内容に興味がもてそう」「収入が多そう」「いろいろな経験ができそう」といった点に惹かれていることが分かる。すでに軽作業・ラインスタッフに従事している層に比べて、「収入が多そう」「知識・経験がなくても働けそう」な点もやや高い。
では、実際の仕事選びではどのような条件がポイントになるのだろうか。下表4-2をみてみよう。
現在軽作業・ラインスタッフ以外に従事し次は軽作業・ラインスタッフを希望する層では、「勤務地が自宅から近いこと」「給与が高いこと」が上位2項目。現在すでに軽作業・ラインスタッフに従事している層と比べると、「勤務地が自宅から近い」が特に高いほか、「興味のある仕事内容であること」「ボーナス・歩合など通常の給与以外の収入があること」も高め。
他業種から軽作業・ラインスタッフを希望してくる層は、仕事内容への興味だけでなく、知識や経験がなくても働ける、そして収入も多そうな点にひかれているが(表4-1)、この「イエチカ」を特に重視しているあたりをあわせ考えると、どうやら、“気軽にある程度のお金”を得られるというのも、大きな魅力となっていると推測される。
最後に、現在すでに軽作業・ラインスタッフに従事している層が抱く、仕事への不満点をみておこう。次は他業種に就きたいと希望している層では、「給与が低い」「やりがいを感じられない」「ボーナス・歩合など通常の給与意外の収入がない」「楽でない・疲れる仕事」が不満の上位項目。こうした点の解消が、離職を防ぐことにつながるだろう。
以上、軽作業・ラインスタッフ業界において、他業種から積極的に採用していくためには、仕事内容に興味を持ってもらうことももちろん大事だが、プラスの魅力として、スキルや経験がなくても気軽に誰でも働けそうだという安心感・親近感を抱かせる工夫が効果的であろう。