応募動向は絶えず動いている。求人者の動きが活発な時期もあれば、落ち着いている時期もある。
ならば、それをいち早く読んで、採用計画に反映できれば、より効率的かつ効果的な募集が、しかも年間サイクルで可能となるはず。
そこで今回のトレンドデータは、まさに年間の応募トレンドを大公開。
主要10職種について、4~9月までの各月ごとに、属性、勤務日数、そして給与区分で毎月の応募動向を調査した。
職種ごとに、どんな応募者がどの月にどんな動きを見せるのか。
微に入り細に入りの調査結果をお届けする。
※弊社の2008年4月~2008年9月の応募データより
INDEX
- 01.事務・アシスタント
- 02.電話受付・入力業務
- 03.軽作業
- 04.キャンペーン・PR
- 05.居酒屋店員・バーテンダー
- 06.フードのホールスタッフ
- 07.ファーストフード
- 08.コンビニスタッフ
- 09.販売
- 10.アパレル販売
4 キャンペーン・PR
データ早わかり
春先は時給メイン、夏休みは日給台頭
属性から応募動向の推移(図4-1)を見てみると、大学・大学院生が圧倒的に高い。とくに8月は半数近い42%を占めた。また、高校生は7月に応募割合が急増する。勤務日数(図4-2)ではどうか。4~9月を通して、週1~2日の割合が90%前後を占めた。結果、週3~4日と週5日以上は全期間で10%に満たない。給与(図4-3)については、時給が全期間を通じてもっとも応募の割合が高かった。とくに4月は全体の7割を占める。日給は逆に4月がもっとも低いが徐々に増加し、7月にもっとも高くなる。
■属性/大学・大学院生の独壇場
大学・大学院生に人気の職種であることが伺える。とくに7月~8月の応募の高さが目立つが、逆に言えば、その他の属性では、いわゆる夏休み期間の応募が鈍化するという側面もある。6月からの早めの採用準備が、その対応策としては効果的だろう。
■勤務日数/安定的かつ圧倒的な週1~2日
業種自体、短期、単発というイメージもあり、週1~2日勤務の採用はスムーズだろう。グラフでも、9月に向けて若干下降傾向にはあるが、単月では安定した形で他を圧倒している。対して、週3~4日と週5日以上勤務の人材確保だが、5月と9月が数値的にはいいが、それもごく小さな動きでしかない。早めに募集を仕掛け、ロングスパンで取り組んでいくことが肝要だろう。
■給与区分/日給の募集なら7月がもっとも効果的
7月がポイントになる。時給は4月が応募割合のピークで7月にもっとも落ち込む。対して、日給は4月には時給との差が34%もあったが、7月には11%にまで縮まった。時給の募集なら春先をメインに、日給の募集なら7月がもっとも効果的ということになる。月給は全期間で0~1%ときわめて低い。
5 居酒屋店員・バーテンダー
データ早わかり
大学生とアルバイターの牙城、揺るがず
まずは属性の応募動向(図5-1)だが、大学・大学院生の割合が高く、次いでアルバイターとなり、他の属性とややポイントが開いた形となった。主婦・パートはすべての月で1~2%と低い。勤務日数(図5-2)は、週1~2日の応募が、4~9月のすべてでもっとも高かった。週3~4日は4月に30%を超えたが、8月は半減してしまう。給与区分(図5-3)では、時給が全期間で90%以上の高い割合で推移している。
■属性/夏は週1~2日勤務に比率がUP
一般に夕方以降からの仕事ということで、大学・大学院生が集中しやすい職種だが、それが数字にも表れている。興味深いのは5月がもっとも活発で夏休みにやや減少傾向となる点だ。アルバイターの応募動向が大学・大学院生と反対傾向にあるのは、その影響が考えられるが、結果的に夏休みにより採用しやすいということが言える。また、契約・派遣・正社員は8月、9月に若干上昇の兆しを見せる。採用時期として押さえておきたい。
■勤務日数/暑い日は勤務日数少なめで
週1~2日勤務への応募は全期間で60%を超えている。とくに、6月から割合は増加し始め、8月に81%と大きくアップする。週3~4日も4~6月は30%前後とそこそこの割合を示しているが、7月と8月の落ち込みには注意したい。夏休み期間中は、週3日以上の勤務の人材確保は、6月までに済ませる方が効率的だろう。週5日以上は全期間で1~3%と、割合としてはかなり低いままの推移となり、急募という形は避けたいところだ。
■給与区分/7~8月にかすかな動きあり
飲食店関連は時給が圧倒的に多い傾向にあるが、これもその典型だ。ただし、7~8月の夏休みの時期は、長期間勤務が可能となる為か、日給、月給にもごくわずかながら動きが見られた。
6 フードのホールスタッフ
データ早わかり
フード店の特徴があちこちに
属性の応募割合(図6-1)から。大学・大学院生は20%後半~30%半ばで推移。アルバイターは安定して10%台後半で推移。高校生は7月に応募が急増する。勤務日数(図6-2)で見ると、週1~2日勤務の応募がもっとも多く、70%前後と安定している。次いで多かったのは週3~4日で、こちらは30%前後で安定。給与区分(図6-3)では、時給が4~9月を通じて97~98%とかなり高い割合を、しかも安定的に出している。結果的に、日給と時給はいずれも全期間3%以下。
■属性/飲食店関連は学生強し
飲食店関連は総じて学生に人気が高いが、この職種も中心は大学・大学院生となった。他の属性が20%を一度も超えないことからも、常時30%前後である大学・大学院生の応募割合が高いことがわかる。また、5月にグッと応募動向が活発になるのも、飲食店関連による大学・大学院生の特徴だ。高校生は7月に加え、4月も活発である点に着目したい。
■勤務日数/長期戦で臨む週5日勤務
特徴は、どの応募の割合もほぼ一定であるということ。4~9月を通じて3%以下という週5日以上に関しては、急募的なことはなるべく避け、じっくりと募集していくしかないのではないか。
■給与区分/いつでも効果的な時給の募集
時給の割合は一貫して高い。一方日給、月給の割合は低い。
7 ファーストフード
データ早わかり
高校生が応募を制覇する夏
まずは、属性による応募動向(図7-1)の推移から。4~6月は大学・大学院生の割合がもっとも多く、7月~9月は高校生が割合でトップとなる。主婦・パート、契約・派遣・正社員は9月に向けて徐々に応募が増加する傾向にあり、結果として、9月は属性間の差が縮まることに。給与区分(図7-2)では、時給が4月~9月を通じて応募のほぼすべてを占めた。
■属性/前半と後半で主役交代
4月~9月の期間で、前半と後半で最多割合の属性が変わる。この職種の大きな特徴だ。とくに高校生の多さは他の職種では見られない傾向で、人気のほどが伺える。また、大学・大学院生は7月以降、応募がグッと落ち込む点に注意したい。飲食店関連職種では目立たなかった主婦・パートも月を追うごとに増える傾向にある。
■給与区分/全期間、時給一色
給与区分での時給は、どの職種も総じて応募割合が高いが、ほぼ100%という数字からも、ファーストフードはその究極と言える。日給、月給での応募に関しては、その効果を期待するより、時給での採用に切り替える方が賢明だ。