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今年の求職者の特徴は?

今年4月に実施した求職者意識行動調査の結果によると、「辞める理由」の各項目に対する求職者の回答割合が減少していることが分かった。そこで今回は「辞める理由」の全体的な傾向・職種別の傾向を分析し、アルバイト・パートの採用・定着において、注意すべき今年のポイントを探った。

今月のポイント

  • 時給UP等で求職者の不満が減少。背景には求人数の増加により希望条件に合った仕事に移りやすくなったことも影響。
  • よい人材を確保するためには、給与条件を含めて、働きやすい職場環境作りへの改善が重要。

INDEX

調査概要

■調査手法:インターネットリサーチ
■調査対象:北海道、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)、東海(愛知)、関西(大阪、京都、兵庫、滋賀)、九州(福岡)在住 かつ  1年以内に非正規雇用に就業した15-34歳の男女
■2011年版
・調査時期:2011年4月
・サンプル数: 7,504名
■2010年版
・調査時期:2010年3月
・サンプル数: 7,071名
■2009年版
・調査時期:2009年3月
・サンプル数:7,608名
■2008年版
・調査時期:2008年3月
・サンプル数:8,866名
※いずれの調査も、調査実施年月の過去1年間の状況が結果に反映されているため、本文中では、2011年版調査の結果を2010年の状況として表記しています(2008~2010年版も同様)。

1 辞める理由 経年比率(2007年から2010年)

求職者の不満が総じて減少傾向

2007年からの「辞める理由」の調査結果を比較してみると、回答者が複数回答可で選択した「辞める理由」の一人あたりの平均選択項目数が、2009年までは2.0以上であったが(2007年2.1、2008年2.3、2009年2.2)、2010年には1.6まで減少している。主な項目だけを見ても、2007年から常に「辞める理由」のトップ3となっていた「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」「楽でない、疲れる仕事だから」「給与が低いから」を選択する割合が、2009年に比べ約半分ほどに下がった。つまり、これまでは複数の理由が重ならなければ、辞めるまでに至らなかった求職者が、1つでも仕事に不満があると他の仕事に移ってしまう可能性が高くなったと言える。

こうした背景には、主に賃金・求人数の変化があると考えられる。

まず、賃金面の好転である。2008年のリーマンショックをきっかけに、アルバイト・パートの全国平均時給(an調べ)も、2007年977円、2008年971円、2009年968円と低迷しつつあったが、2010年は景気がやや回復したこともあり、986円と上昇した。こうした動きを背景に、「給与が低いから」は辞める理由として選択されにくくなったと考えられる。

次に、求人数の増加である。厚生労働省の「新規求人数」(※)を見ると、2009年には約20万で2007年の約26万から大きく減少したものの、2010年は22万台まで持ち直している。

※新規求人数(厚生労働省): 一般職業紹介状況の長期時系列表 4表「新規求人数(実数及び季節調整値) 」より

また、今回の調査結果で、直近の仕事を辞めた人の割合が、2008年、2009年にかけて減ったのに対し、2010年になって再び増加したことも明らかになった。

以上のことから、多くの求職者は、2008年、2009年は仕事内容や職場の人間関係に不満があっても辞めずに辛抱していたと思われる。だが、2010年に入って仕事の選択肢が増えたことで希望条件に合った仕事に移りやすくなったために、仕事を辞めることになっても、給与や仕事内容、人間関係、体力的・精神的ストレスが理由になることが減ったのではないか。

また、この結果は、労働条件や職場環境以外のことを理由に辞めているとも言えるため、「辞める理由」が多様化している可能性もある。そのため、普段からこまめにアルバイト・パートとコミュニケーションをとり、彼らが何を考えているか、どんなことが気になっているのか個々の状況を把握し、ケアしていくことが、急に辞めさせないポイントと言えそうだ。

グラフ1.辞める理由 経年比較(2007年~2010年)

2 職種別に見る2009年と2010年の比較

良い人材の引きとめが困難に

全体の考察において、辞める理由として減った給与や仕事内容、人間関係、体力的・精神的ストレスといった理由について、職種別に見ていこう。

まず、給与面の回答割合が特に減少したのが、サービス、軽作業・ラインスタッフである。いずれの業種も「給与が低いから」という理由が、2009年より10ポイント以上減少した。中でもサービスは、「ボーナスなど給与以外の収入がない」も減少している。また、サービス、配送・物流の2職種では「もっとよい条件の仕事が見つかったから」の減少幅が大きくなっている。

このことからも、2008年~2009年は辞める主なきっかけが、仕事の条件に満足できないことであったのに対して、2010年は自身の希望により近い仕事に就けたがゆえに、「給与の低さ」や「条件」が辞めるきっかけになりにくくなったようだ。

次に、「仕事内容に興味が持てない」「やりがいのある仕事ではない」といった仕事内容に対する不満項目が最も減少したのは、オフィスワークだ。以前は、とにかく働くことを優先したが、求人数も増えたことで、求職時点で自分のやりたいことややりがいのある仕事を選択できるようになり、選択割合が減ったと思われる。

では、人間関係や仕事の大変さなど、精神的、体力的な不満についてはどうだろうか。フードやサービスでは、「店長や写真の雰囲気が悪いから」という回答割合が大幅に減少した。また、フード、配送・物流では「楽でない・疲れる仕事だから」という回答割合が減少した。不景気が続いている時は、少人数で運営せざるを得ず、おのずと一人あたりの仕事量が多くなってしまっていた店舗が多かった。職場によっては、雰囲気まで悪くなっていたところもあるかもしれない。ところが、2010年に入って景気回復とともに人を採用できるようになり、職場全体に余裕が出てきたことで、精神的・体力的な余裕も出てきた結果ではないだろうか。

ここまで見てきたように、求職者は2009年までは辞めたい理由が複数重なるまで、なかなか仕事を辞めることはなかった。条件や職場の雰囲気が多少悪くても、仕事を続けてくれたのである。だが、2010年は自分の条件に合ったところへ転職しやすくなっているため、1つの不満でも生じればすぐ辞めてしまう可能性が高く、人材を引きとめておくことが難しくなっている。また、求職者にとって不満に思う要素が多い企業には、なかなか良い人材が集まりにくい状況になりつつあるということでもある。給与条件を含め、働きやすい職場環境への改善などに努めることが、より良い人材を確保する上でますます重要になってくるだろう。

職種別に見る 2009年から2010年にかけての「辞める理由」回答割合の減少幅

vol.45 : PDFダウンロード

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