深夜営業のコンビニやファミレス、居酒屋チェーン。
さらには、24時間稼働する宅配や作業現場、早朝から動き出す交通機関など。
早朝・深夜勤務は、生活が多様化し、企業間のサービス向上が激化する中、その必要性がより増していると言えるだろう。
しかし、その一方で、人材確保が困難なのも事実である。
そこで今回、早朝・深夜勤務希望者と実際の勤務者へのアンケートから、より効率的な採用方法、人材確保のヒントを探ってみたい。
INDEX
3.早朝・深夜勤務者の希望時給額
~早朝は控えめに、深夜は多めに~
今度は時給から、早朝・深夜勤務希望者の特性を見てみよう。まずは早朝勤務希望者の希望時給額のアンケート結果から(図3-1)。それによると、最多回答は「800円以上(~900円未満)」で29%。次に多かったのは17%の「700円以上」だが、「900円以上」が16%、「1000円以上」は15%と、2位以下はほぼ拮抗している。全体の印象からは、希望時給は “やや控えめ” と言えるだろう。
深夜勤務希望者の場合は(図3-2)、もっとも多かったのは早朝勤務希望者と同様「800円以上」で26%を占めた。だが、「1000円以上」「1100円以上」といった高額希望だけを見れば、その割合は早朝勤務希望者よりも明らかに多い。このことは、〈02〉で触れた仕事選びの重視点の結果とも一致する。さらに言えば、あくまで時間帯として深夜勤務が適している人もいるが、高い時給を求めて深夜勤務を希望する層がいることをうかがえる結果でもある。
4.早朝・深夜勤務者の希望勤務日数
~週5日働けるかどうかが分かれ道~
希望する1週間の勤務日数はどうだろう。早朝勤務希望者の場合(図4-1)、「週5日」が33%でもっとも多かったが、「週3日」も32%と高い数値となった。つまりは、かたや正社員のようにキッチリと週休2日で働きたい、かたや週の半分は学校や家事、自分のしたいことに時間を充てたいという層に、きっちりと二極化している。 それを踏まえて、深夜勤務希望者の結果(図4-2)を見てみると、早朝勤務希望者との違いがより明確になる。深夜勤務希望者は「週3日」が40%で最多回答となり、「週4日」が28%で続く。あくまで「週3日~4日」が中心となっているのが特徴だ。それは同時に、深夜勤務=高時給という図式がある中で、それでも週5日、6日と多く働いて稼ぎを増やす、という層が少ないということを意味している。
今月のまとめ
- 属性で見ると、早朝勤務では大学・大学院生とともに、フリーター女性が多い点が特徴的だった。主婦も、早朝勤務外と比べれば少ないが、それでも17%を占め、フリーター女性と合わせると4割超を占める。
- 一方、深夜勤務では大学生・大学院生が中心。日中、学校で時間を取られるため、深夜勤務は時間を効率良く使うためにも適している。職種にもよるが、人材確保が学生中心(とくに男性)であれば、採用もスムーズに進行するはずだ。
- 仕事選びにおいて、早朝勤務は時給よりイエチカと時間のシフトが優先する。そこを考慮(求人エリアを勤務地の近くに限定する、シフト勤務を可能にする、など)ことが、採用計画のポイントになり、結果的に離職率を低下させる効果も期待できるだろう。対して、深夜勤務は時給の高さを重視する傾向が強い。職種によっても異なるが、時給1000円以上がひとつの目安となりそうだ。
- 希望勤務日数は早朝と深夜でその傾向が異なる。早朝勤務は、週3日と週5日ともに希望者は多い。一方、深夜勤務では週3日がもっとも人気だが、週5日はさほどでもない。深夜勤務の求人では、週3日~4日に絞ることが効果的と言える。