スタッフがやりがいや成長を感じられる仕組みを作る
横道 人材確保のためには、応募者数を増やすとともに、定着率を上げることが欠かせません。応募者の増加に向けた施策を打つだけにとどまる企業も多いなか、お二人の会社は定着率アップにもウエイトを置かれています。
近年見られる求職者のマインドについて、リーマン・ショック前後は、アルバイト選びの決め手は「時給」「勤務地」「職種」などが主流でした。しかし、「an」が調査した「若年層白書2014(15~24歳対象)」によれば、求職者は「社会経験」「仕事の経験」「マナー」「成長」などといった要素をアルバイトに期待することがわかっています。こうした変化は現場で感じますか?
山本 もちろんです。弊社では従業員が自分の成長を感じながら楽しく働けるかどうかが、就活前の離職防止や長期雇用につながると考えています。そこで、アルバイトスタッフにもやりがいや成長を感じてもらえるような研修やイベントをたくさん用意しているんですよ。
就職活動支援セミナー「塚田農場キャリアラボ」。
例えば、働いているスタッフはもちろん、就活前の大学生なら誰でも参加できる就職活動支援セミナー「塚田農場キャリアラボ(通称ツカラボ)」。ほかにも、アルバイトスタッフに日頃の感謝を伝える「APオールスター感謝祭」や、生産者との連携を深める「AP万博」といった交流イベントを実施しています。
研修も多様なテーマで定期的に実施しています。例えば、「人を道具と見なすか、1人の人間として向き合うか」を考えるといった内容。いわば、一緒に働いている人を大切にする環境作りです。
店舗で働くことで、楽しさや成長、やりがいを感じたりすることはもちろんですが、こうしたイベントや研修が、スタッフの満足度や働くモチベーションを高め、結果的に定着率の向上にもつながっていると感じています。
人を大切にする企業文化が定着を後押しする
エー・ピーカンパニーの山本氏(右)とブックオフコーポレーションの冨山氏
横道 ブックオフコーポレーションの取り組みといえば、「キャリアパスプラン」が有名ですね。業界的にも先駆けとなる1993年に導入されたと聞いていますが、そもそもどういった制度なのでしょうか?
冨山 簡単にいえば、個人の頑張りに応じてランクアップする育成制度です。ランクアップと同時に時給も上がり、一定ランクを超えれば社員登用選考にも参加できます。
現在は他社でも同様の仕組みを導入されているので、差別化になるとは考えていませんが、目標が明確になり、仕事のやりがいや自らの成長を感じてくれるスタッフがいるのは確かです。
キャリアパスプラン
社員とアルバイトは立場的に平等であり、やる気があれば役割をどんどん任せていく。こうしたことをいざ実行に移すには、時間とお金、エネルギーが必要ですが、弊社は創業以来、「一緒に働く人を大切に思いながら働く」という思想のもと、「キャリアパスプラン」を実践してきました。
その積み重ねが、人を大切にする社内風土になり、人材の定着にもつながっていると感じています。今後も、この社風を壊さないように気をつけなければなりません。