一度は選んだ仕事を辞める時、そこにはどのような思いがあるのだろうか。
理想と現実のギャップを感じたか、生活環境の変化があったのか、今回はそのような離職理由を職種ごとに紹介する。また継続の理由もあわせて掲載し、安定した労働力確保のヒントとしたい。
INDEX
4 〔フード〕継続して働く理由と辞めた理由
続いて〔フード〕をみてみよう。フードの仕事に継続して従事している層は、圧倒的に「大学・大学院生」が多いようだが(表4-1)、そんな彼らが続けている理由トップは、やはり「勤務地が自宅から近いから」。つづいて「店長や社員の人の雰囲気がよいから」「時間の融通がきくから」が僅差で追う。仕事を続ける理由として人間関係がこれほど上位にあがってくるのは、この〔フード〕職と、次にみる〔販売〕だけだ。 この人間関係に関することはまた、辞める理由トップにもなっている。どれほど重要なポイントであるかが分かる結果だ。しかも、辞める理由としては他の項目に大きく差をつけている。ちなみに、2位以降は「楽でない・疲れる仕事だから」「給与が低いから」と続く。 “大学生のバイト”のいわば代表格である〔フード〕において、職場の仲間との距離や雰囲気は、その仕事を続ける/辞めるを左右するキーとなっているのだろう。
5 〔販売〕 継続して働く理由と辞めた理由
〔販売〕も、先に見た〔フード〕と非常によく似ている。継続層の属性は、〔フード〕に比べて「大学・大学院生」が若干少なく、代わりに「フリーター女性」「フリーター男性」が多いという特徴があるものの、その仕事を継続している理由トップはやはり「イエチカ」、そして「店長や社員の人の雰囲気」、「時間の融通」、「自分にもできる仕事だから」と続く。 そして辞める理由も、〔フード〕同様に「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」が突出してトップ。続いて「給与が低い」「楽でない・疲れる仕事だから」と続く。
6 〔講師・インストラクター〕 継続して働く理由と辞めた理由
さて次は〔講師・インストラクター〕を見てみよう。継続層の6割が「大学・大学院生」で占められている。継続の理由トップは「やりがいのある仕事だから」。そして「給与が高いから」「仕事内容に興味が持てるから」。4位にやっと「イエチカ」、5位に「時間の融通」が入ってくる。 一方辞める理由は、トップが「給与が低いから」、2位が「もっとよい条件の仕事が見つかったから」、3位が「時間の融通がきかないから」。 〔講師・インストラクター〕という仕事では、続ける場合にも辞める場合にも「給与」が非常に重要なポイントであることが推測される。やりがいや興味を感じられることも、その仕事を続ける上では大きなモチベーションにつながる一方で、ほかにもっと高い給与・より良い条件の仕事が見つかれば、辞めてしまう可能性も高いといえるだろう。
7 〔営業〕 継続して働く理由と辞めた理由
続いて〔営業職〕。この職種の継続層は、学生が極端に少なく、代わりにフリーター男女が6割以上を占めている。続ける理由としては、「やりがいのある仕事だから」「仕事内容に興味が持てるから」。一方辞める理由としては「1日に働く時間が長いから」「店長や社員の人の雰囲気が悪いから」、「仕事内容に興味が持てない・失ったから」。 おそらく、正社員に近い形態で働くことの多い〔営業職〕。やりがいや興味が持てれば、その仕事を続ける可能性も高まるのだろう。 ただ一方で、勤務時間数の長さや、職場の人間関係・雰囲気が、離職を招く要因にもなっているようだ。