「まずは部下の持ち味を知る」 アチーブメント株式会社取締役 佐藤英郎

  • お役立ちインタビュー

 組織におけるリーダーの役割は大きく、その大きさゆえになかなかリーダーを任せられる人材がいないとお嘆きの方もいらっしゃるのではないでしょうか。多くの店長さんが悩みとしてあげる、次世代リーダー育成のポイントは「違い」に着目することです。

より店舗を拡大していきたいとお考えの店長さんにとって、頭を悩ませる問題の一つに次世代リーダーの育成があります。自分の次を任せられるリーダーの育成は重要な仕事の一つですが、一朝一夕でできるものではないのもまた事実です。「期待していたリーダー候補の人材が思うように成長してくれない」、「そもそもリーダーを目指そうとしてくれない」などの悩みは、部下を持つ管理職にとって共通するものとなっています。

それでは、どのようにしたら次世代のリーダーを育てることができるのでしょうか。重要なことは、次のリーダー候補であるメンバーに対して、あなたがどのようなスタンスで関わるのか、ということです。多くのリーダーは、自分と違う考えを持っているメンバーに対して、「それは間違いだ。こうしたほうがいい」と、自分の考えを押し付けてしまいがちです。しかし、それでは部下の主体性の芽を摘んでしまうだけでなく、成長にブレーキをかけてしまう可能性すらあります。

ここで、皆さんに意識していただきたい大切なことがあります。それは、『違いは違いであって、間違いではない』ということです。人は性格や個性も違えば願望も異なっており、ある人にうまくいった方法が他の人にも適用できるとは限りません。自分にとっての成功法が、他のメンバーにも当てはまるとは限らないのです。自分のコピーをつくることが次世代リーダー育成だと思われている方も多いのですが、『違いは違いであって間違いではない』という考えのもと、メンバーがどんなリーダーになれるか、どんなリーダーを目指そうとしているのか、自分との違いを受容し、その違いに合わせた育成を行っていくことが非常に重要です。

Disc理論※クリックで拡大します

違いに合わせた育成を行うには、部下の個性を観察・分析することが必要になりますが、ここでよく行われるのが「一定の類型に従って人をタイプ分けする」ということです。その際、一般的な分析ツールとして活用されているものに「DiSC理論」というものがあります。これは、動機欲求に基づく行動パターンをもとに人を分類するもので、主導型・感化型・安定型・慎重型の4タイプに分類されます。

例えば、積極的に現場の改善を進めたいと思っている上司のあなたに対して、あるメンバーが常に懸念点を提示し、なかなか踏みだせないということがあったとします。この場合、「仕事が遅い」「やる気がない」と捉えがちですが、「メンバーは私と違い、慎重型の傾向が強いのだ」と認識することによって、違った捉え方ができるようになります。
メンバーは改善に反対しているのではなく、より良いものにするために、慎重に案を練っているのだと捉えられるかもしれません。そう考えると、このメンバーがリーダーになれば堅実な店舗運営をするでしょうし、新人に対して細かい点まで指示し、よいマネジメントをしてくれるかもしれません。慎重さは弱みでなく、あなたとは違うその人の持ち味なのです。そう捉えて初めて、部下の持ち味を引き出していくとともに、その持ち味に応じた育成が可能になります。
メンバーの可能性を引き出せるかどうかは、リーダーであるあなた次第です。「部下を観察し自分との違いを認め、その違いに合わせた育成を行う」。まずはこれを心がけて下さい。具体的な観察ポイントや育成方法は、次回DiSC理論における4タイプ別の特徴や対応策についてご説明致します。ご期待下さい。

※DiSCはInscape Publishing社の登録商標です。
日本語版商品開発権・総販売代理権はHRD株式会社が保持しています。

 

アチーブメント取締役 佐藤英郎

佐藤英郎 / Eiro Sato
研修コンサルタント事業に30年以上携わる。電通、キリンビール、LOUIS VUITTON、ネスレグループをはじめとする大中小200社以上、延べ14万人以上の研修実績を持ち、リーダーシップ理論、ビジネスコーチング、DiSC理論、目標達成スキル等を組み合わせたその指導内容は、多くの企業の信頼を得ている。コーチングの世界では最高タイトルである、国際コーチ連盟「マスター認定コーチ」の一人でもある。・現実行動マネジメント研究所所長
・日本プロスピーカー協会(JPSA)専務理事
・「DiSC」マスタートレーナー
・国際コーチ連盟(ICF)マスター認定コーチ
・全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント
・HRDシニアコンサルタント
・日本選択理論心理学会 会員 など

著書

2003年:『部下をひきつける 上司の会話術』アーク出版
2004年:『気づく人気づかぬ人』アチーブメント出版
2008年:『エイロー式好かれる人の「超・会話法」』アチーブメント出版
2010年:『プレイングマネジャーのための 新図解コーチング術』アーク出版など

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