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「辞められ店長」は卒業!アルバイトがやりがいをもって働ける職場に

人手不足の状況にある昨今、アルバイトスタッフを採用するためのポイントを前回のan report(人手不足で店長受難!どうすればアルバイトの採用はうまくいく!?)でご紹介しました。

無事にアルバイトスタッフを採用できたら、今度は継続して働いてもらえるかどうかが大切です。せっかく採用したアルバイトスタッフがすぐ辞めないようにするには、どうすればいいのでしょうか。

前回に引き続き、株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役でありツナグ働き方研究所所長の平賀充記さんに、アルバイトスタッフが辞めないようにするためのポイントをうかがいました。

INDEX

早期での離職を防ぐためには、最初のアプローチが肝心

図1:非正規雇用者の離職タイミング
出典:中原淳+パーソルグループ「アルバイト・パート採用・育成入門」(ダイヤモンド社)

 

――アルバイトで働く人たちが辞めるのは、どんな理由なのでしょうか?

非正規雇用者の離職タイミングですが、55%が6カ月以内に辞めてしまうというデータがでています。これは、3年で3割といわれる新卒社員の離職よりも圧倒的に早いですよね。その最大の原因は、前篇でもお伝えしましたが、「採用面接で聞いていた話と違う」というものです。このリアリティショックによる初期離職をどう食い止めるか。アルバイトの定着における天王山は、入社後すぐにやってくるのです。

そういった意味でも、多かれ少なかれイメージギャップを抱えて入社することになるアルバイトに対して、どうやって受け入れを行っていくのかどうかは、極めて重要。多忙なために、ウエルカムの姿勢や新人教育がおろそかになってしまう店長は、結果として次々にアルバイトに去られてしまうことになります。ここに優先度を持てないのが「辞められ店長」なのです。離職されるとまた採用をしなければならず、ただでさえ忙しいなか、また多大な時間とエネルギーを使わなければなりません。これでは悪循環です。そのためにも「受け入れ」にはしっかりと時間とエネルギーを割く必要があります。

店長としてまず大切にしたいのは、アルバイトスタッフが働き始めるその日です。仕事の初日に、ある程度の時間をかけてしっかりとガイダンスをし、会社の理念やビジョンを店長自らが熱を込めて語る。これを行うだけで、離職率が半減したという飲食チェーンもありました。採用面接ですでに、動機づけを一度行っているかもしれませんが、もう一度仕事の初日に行うことが効果的になります。

また、聞いてなかったルールに関して怒られたりするのは、誰でも理不尽に感じるはずです。そのためにも、仕事を始める前に、仕事の内容だけでなく、職場におけるハウスルールをしっかりガイダンスとして伝えてあげましょう。仕事を始めた後に「いわれてないのでやらなかったのに、怒られた」「どこまでやればいいのか線引きがわからない」といった声がでないようにしていくことも、重要なポイントなのです。

ある大手飲食チェーンでは、採用したアルバイトに80時間の研修を行っています。店頭に出て働く前に、仕事の内容や商品の知識、サービスのあり方などを学んでもらうのです。もちろん、その期間も時給を支払います。例えば時給1,000円とすると、1人当たり8万円のコストをかけて教育することになります。それだけ聞くと、それができる会社は限られているだろうと思われがちですが、このチェーンは、募集費がゼロなのです。アルバイトが定着しイキイキ働いていることから採用ブランド力が上がり、有料の求人メディアを利用することなく自社の採用ホームページだけで採用を完結できているのです。今、東京都心でアルバイトスタッフを採用するためのコストは、1人あたり約10万円かかるといわれています。人材不足により競争率が上がっており、有料の求人メディアでの募集費もどんどん上昇しているのです。その分の費用を初期教育に充てることで、結果的に募集費用を極少化できている。この好循環が理想形でしょう。

アルバイトスタッフが定着し、長く働くことで生産性が上がる!

――アルバイトスタッフが辞めずに働き続けるメリットとはなんでしょうか?

先述したように、アルバイトスタッフが長く働き続けてくれると、新たに採用をするためのコストや、仕事を最初から教えるという新人教育コストが継続的にかかることがなくなります。さらに、長く働くアルバイトスタッフは、経験を積んでいくので、生産性が上がるということも大きなメリットとなります。アルバイトスタッフの仕事は、難易度の高いものがそれほどあるわけではありません。長く業務を行ううちに、1人でできる仕事の物量やクオリティは上昇していきます。「辞めないアルバイト」には、それ自体に経済合理性があるのです。

とくにサービス業においては、経験年数の長いアルバイトスタッフは仕事のコツをつかみ、コミュニケーション力や接客力が向上するので、サービスの質も上がります。現場のアルバイトスタッフが辞めずにイキイキと働く職場では、従業員満足度が上がり、顧客満足度も上がるという流れができてきます。そうすれば店舗の業績も上がり、とてもいい循環ができます。

さらに、ベテランのアルバイトスタッフでしたら、体得したスキルを後輩に伝えていくなど、新人教育にも力を発揮することができるでしょうし、仕入れや発注、シフト管理など店長に集中しがちな業務を分散させることも可能になってくるでしょう。忙しい店長の仕事が軽減し、余力が生まれることにより、店長自身の生産性が上がることも期待できます。

つまり、アルバイトスタッフの採用や教育に関するコストの効率がよくなるという点と、一人ひとりの生産性が上がって店舗の業績が上がるという点の両方を実現してくれる源泉として、アルバイトスタッフが継続して働いてくれることが位置づけられるわけなのです。

長期で働いてもらうためには、アルバイトスタッフにも仕事のやりがいを

――それでは、アルバイトスタッフに長く働いてもらうためにはどんな工夫が必要なのでしょうか。

初期の定着という点からは、店長自らコミュニケーションをしっかりとって、「この職場には自分の居場所がある」と思ってもらい、アルバイトスタッフとして働く承認欲求を満たすことが大切です。

その後、辞めずに1年ぐらい働き続けてくれたら、さらに継続して働いてもらうために少し工夫が必要です。ある程度定着したアルバイトスタッフは、余裕が出てきてまわりが見えてきます。そうするとまわりのスタッフと比べて、「あの人より私のほうが頑張っている」という感情が芽生えてきたりしがちです。

こうした時期には、時給や階級を上げるなど、ステップアップ感を提供することが重要です。時給を上げることはもちろんベースとなるのですが、時給数十円の昇給だと月収に及ぼすインパクトはそれほど多くないかもしれません。例えば、職級が上がるごとに制服のバッジの色を変えるというシステムを取り入れている飲食チェーン店もあります。目に見えるカタチでの演出も効果的です。いずれにせよ「お金」だけでなく「賞賛」をセットにすることで、働くモチベーションは上がると理解しておく必要があります。

図2:戦力化マネジメント
出典:ツナグ働き方研究所「アルバイト職場コミュニケーション調査」(2016)

 

アンケート結果からも、アルバイトをする人が自分も戦力として活躍できることを望んでいる傾向が見られます。以前のアルバイトは仕事にコミットするというよりも、仕事をがんばるのは「仲良くなった店長のため」というような感覚がありました。今のアルバイトスタッフは意外と真面目で、「仕事がうまくいけば褒められる」「上達すれば任される部分が増える」「頑張った分、時給を少し上げてもらえる」といったことを喜ぶメンタリティーのようです。

もっとも、「働く」ということは、「お金を得る」だけではなく、「精神的な充足感を得る」という要素が大きな割合を占めていることは言うまでもありません。そしてそれは、アルバイトスタッフでも正社員でも変わりはありません。「どうせバイトだから」という意識ではなく、アルバイトスタッフを働く仲間としてとらえ、やりがいを提供していくことが大切です。やりがいは、アルバイトで働く人にとっても、長く働こうと思う要素となるでしょう。

ただし、距離感を見誤ることはないようにしてください。距離を縮めすぎることで、つい過重労働を強いてしまうことになったりすれば、それはある意味でブラック化につながるからです。正社員と同様の報酬などを享受してはいないアルバイトスタッフが、「割に合う」と思える距離感を見極めることが、アルバイトスタッフに対するマネジメントの要諦といえます。

まとめ

せっかく採用したアルバイトにすぐに辞められないために、そして長く働いてもらうためにはどうすればいいのかをお話しいただきました。

初期離職を防ぐには、しっかりと教育を行うことが大切であり、ある程度経験を積んだアルバイトスタッフには、やりがいやステップアップ感を提供することも効果的です。アルバイトスタッフが辞めない職場は、現場のスタッフがイキイキと働いており、必然的に生産性も高くなります。

今や、アルバイトで働く人は若者や主婦層だけではありません。今後は人手不足の対策として、シニア層も増えていくでしょうし、外国人労働者もマネジメントしていく必要があるでしょう。アルバイトスタッフとの距離感の見極めは難しい部分もありますが、アルバイトスタッフのマネジメントを模索していくことは、店舗それぞれの経営視点からみても重要なことになっていくでしょう。

 

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