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定着率が劇的に上がる!アルバイトを育てる「褒め方」「叱り方」

せっかくアルバイトを採用しても、定着せずにすぐに辞めてしまった…この問題で悩んでいる店長さんも多いのではないでしょうか。アルバイトが退職する理由として、とくに挙げられるのが職場のコミュニケーション問題です。例えば、入社まもないアルバイトに対してどのような声をかけ、どんな態度で接するべきか? あるいは彼らがミスをしてしまったときには、どのように対応するべきか? 現場での対応次第で、アルバイトのモチベーションは大きく上下します。そういった職場コミュニケーションの中でも、特にアルバイトの離職を防ぎ定着率を高めることに直結するのが、褒め方と叱り方です。 そこで今回は、求職者の意識と実態を調査し、さまざまな働き方のリアルを研究している「ツナグ働き方研究所」の所長平賀充記さんにお話を伺いました。

INDEX

働き始めの、上手な褒め方&伸ばし方

─「アルバイト定着率」と企業や店舗の指導体制の相関関係について教えていただけますか?。

はじめに、現在は一昔前と比較して、労働環境が多様化しているという前提に立つ必要があります。
まずはサービスの多様化。例えば、“アルバイトの登竜門”と思われがちなコンビニの仕事においても、以前に比べて取り扱うサービスが非常に多様化しています。そのため、アルバイトが覚えなければならないことも増えましたし、その結果、当然ミスが起こる確率も高くなるでしょう。
また、シニアや主婦の方々も積極的にアルバイトをするようになるなど働き手も多様化しています。こうした働き手は若年労働者に比べて、テクノロジーに馴染みが薄いことが多いため、本来あった業務以外にもより細やかな指導も求められています。つまり、アルバイトを採用する企業や店舗の教育体制の整備が、以前に比べて極めて重要度を増しているのです。

─アルバイトの教育指導には、大きく分けて「褒める」「叱る」という2種類があるかと思いますが、まずは「褒め方」について教えてください。

「褒め方」で特に大切なのは、アルバイトが入社したばかりの時期です。この時期にしっかり信頼関係を築くことが、定着率の向上には欠かせません。まず取り組みたいのが、『本人も気づいていない、その人なりの長所』をどんどん指摘してあげること。例えば、「挨拶の声が大きくていいね!」や「制服が似合っているね!」など、些細なことでもいいと思ったらどんなことでも褒めてあげる。そうすると本人にも自信が芽生えますし、お互いの距離を縮めることができるでしょう。

─その積み重ねで、信頼関係が築けるのですね。他にも信頼関係を築くのに良い方法はあるのでしょうか?

そうですね、店長自身が『自分はこういう人間だ』と、個人的な情報をどんどんオープンにしていくことも効果的ですよ。かっこいい成功談よりも、むしろ新人の頃に犯した失敗談などを話すと、相手も親しみを感じ、打ち解けてくれます。また仕事の話だけではなく、プライベートの話題も交えながらお互いの共通項を探し、まずは自分のキャラクターをオープンにする。そうすれば、相手も自然と心を開いてくれるはずです。

 

アルバイトがミスをしたら、どう叱る?

なるほど。「褒め方」と言ってもさまざまな方法がありますね。一方、「叱り方」については、上手く対応する方法を悩んでいる店長さんも多いと思います。入社したばかりの新人がミスしてしまった場合は、どのような「叱り方」がいいのでしょうか。

ある店長さんの例ですが、その方は決して怒らない。例えばアルバイトが遅刻しても絶対に怒らず、代わりに忙しく仕事している自分の姿を、やや誇張しつつ見せる。その後、間をおいてから遅刻した理由を聞く。そうすると本人は自然と遅刻を反省し、行動をあらためるようになったそうです。
また、別の店長さんの場合はものすごく叱るそうです。しかし、叱った後はその10倍褒める。決して怒ったままにはせず、きちんとフォローすることで、信頼関係をより築くことができるそうです。
どちらの対応が正解ということはありませんが、大事なのは怒りに任せてただ叱るのではなく、そのアルバイトのことを考えてどう対応するのかだと思います。

─叱る時に気をつけるポイントはありますか。

大事なポイントは2つです。『無駄な怒りは捨てる』、それから『叱らなければいけない時は、きちんと叱る』。人間が爆発的な怒りを感じ、その感情が持続するのは6秒ほどなのだそうです。だから、怒りを感じたらまずは6秒間我慢する。でも6秒って意外と長いんです。だからそのあいだに、例えば難しい計算をしてみるとか、自分の怒りに点数をつけてみるとか。とにかく6秒やり過ごす。それで怒りの感情がかなり収まってきます。その冷静な頭で考えたときに怒るべきかどうかを見極める。怒る必要がないようでしたら、当然無駄に怒る必要はありません。一方、怒る必要がある場合にはきちんと怒る。いわゆる“怒る”のではなく“叱る”というようなカタチで。うまく叱るためには、職場で共通理解を作っておくことが重要になってきます。

─『職場で共通理解をつくる』とは、どういうことでしょうか?

店長に叱られるケースがどういった場面なのか、職場でその基準を明確にしておくのです。例えば飲食店の場合、お客様に水を提供するのが遅かったら、当然アルバイトは店長に叱られる可能性があります。でも、『水は早く提供すること』とアルバイトに教えても、『早く』という基準は人によってさまざまです。だから、『お客様が来店してから1分以内に水を提供する』など、具体的なルールを設定します。要は店長の怒りポイントを可視化するわけです。そうすれば、その基準から外れたらアルバイトは『叱られるべくして叱られた』と、本人の納得感につながります。

─アルバイトにとっては、叱られた理由が明確になっているため、納得ができるのですね。

叱るという行為において最も良くないのが、理不尽な怒りです。叱られた本人が、『なぜ怒られたのか分からない』と感じるような理不尽な怒りが積み重なれば、やがて離職へと繋がりかねません。
ここまで店長の怒りポイントの可視化と基準の設定のお話をしてきましたが、もっとベーシックなのがハウスルールです。仕事のやり方はもちろんですが、例えば制服の着方、休憩の取り方など、その企業や店舗ならではのルールについて細かく説明しておくことが必要。入社時点で、こういった職場の常識やルールの細かいことまで含めて説明する機会を設けておいてほしいです。そうすると新人が無駄に怒られることが減りますよね。新人の「聞いてないよ~!」というような理不尽さへの心の叫びが激減するはず。そうやって職場共通のルールを徹底しておくことが、信頼関係を傷つけないための『叱り方』の前提になります。

定着率UPにつなげる指導のヒント

 

─そのほか、定着率をあげるために店長さんが気をつけるべきポイントはありますか。

アルバイトのちょっとした変化にも、いち早く気づいてあげることですね。
様子を見ていて、ちょっと元気がなさそうなときにはすぐに『どうしたの』と声をかけてあげる。そうした初動の素早さが、アルバイトの離脱を防ぐことにつながります。直接の声かけが難しい場合は、LINEのようなオンラインコミュニケーションツールを使いましょう。リアルタイムでのフォローは効き目があります。
それから相談役を置くこともおススメです。店長とアルバイトだと雇う側と雇われる側の縦の関係性になってしまうので、どうしてもアルバイトの方は相談しづらいときがあるかもしれません。その解決策のひとつが、店長とアルバイトをつなぐ中間的な存在に「相談役」の役割を任せる方法。アルバイトたちの悩みを聞いたり相談を受けたりして本音を引きだすためには、距離感の近いバイトリーダーなどが適任かもしれないですね。

─日頃からのコミュニケーションがとても大事だということが分かりました。では、こういったノウハウを伝搬していくにはどうしたらよいでしょうか?

「褒め方」のノウハウは、実は「ジョハリの窓」というコミュニケーション理論をベースに語りました。ある時、イケてる店長のコミュニケーションとこの理論の主張が酷似していると気づいたのです。どうしても属人的なノウハウに終始しがちな職場コミュニケーションですが、このセオリーとセットにすることで共通言語化が図りやすくなるなと。また「叱り方」のノウハウは、「アンガーマネジメント」という研修がベース。自分も受けましたが、非常にロジカルで分かりやすかったのです。そういった意味で、これまで話してきた“スタッフ定着に向けた有効な職場コミュニケーション”については、できるだけ理論的・科学的アプローチで理解していくことが有効です。セオリーとして職場全体で可視化、共通言語化することがノウハウの伝搬につながるはずです。

まとめ

●「褒める」場合のポイント
・まずは信頼関係のベースを作る手段として、自らの失敗談など積極的に自身の話をオープンにしていくことも有効
・褒める際には「本人が気づいていない長所」を細かく突いてあげると、相手も心を開きやすい

●「叱る」場合のポイント
・理不尽な怒りに任せ、叱ることは絶対にしてはいけない
怒りをコントロールする手段として、怒りを感じたら6秒間我慢する、という「6秒ルール」を取り入れると効果的
・職場での共通ルールを全員に徹底。「ルールから外れたら叱られる」という認識を共有しておくと、叱られた側も納得し、反省できる
・アルバイトの心境や態度の変化には、即座に対応。相談役の配置やLINEなどのツールを使い、リアルタイムでのコミュニケーションを心掛ける

「良い褒め方」も「良い叱り方」も、その背景に店長とアルバイトの間に信頼関係が築かれていることが前提となりそうです。日頃からどうやってアルバイトとの信頼関係を築いていくか? そのことがアルバイト定着の鍵となるのです。

参照「ジョハリの窓」とは、他者との関係から自己への気づきを促し、コミュニケーションの円滑な進め方を模索するためのツール。自分の中の四つの領域を示す窓のうち、「開かれた窓」を広げることがスムーズなコミュニケーションや能力開発・能力発揮につながると考えられています。

 

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