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03 密なコミュニケーションこそが企業価値向上への近道となる
人材派遣と並び、同社事業の柱となっているのがセールスプロモーション部門。パソコン、ソフトウェア、デジタルカメラ、携帯電話などの店頭支援を全国主要都市で展開し、各方面から高い評価を得ているといいます。これももちろん人材派遣と同じく細やかなスタッフ研修に加え、密なコミュニケーションの賜物だと市川さんは言います。
「スタッフには仕事の始めと終わりに必ず電話を入れてもらうようにしています。メールにしてしまえばコストも手間も削減できるのですが、そうするコミュニケーションが希薄になってしまいます。『寒いから体調に気をつけてね』『日曜でお客様が多いと思うけど頑張ってね』なんていう何気ない会話が、実は重要なんです。スタッフの不安や不満を汲み上げるチャンスでもありますしね。大抵のクライアントは10時~11時に始業なので、その時間は弊社もスタッフからの電話で大忙し。でも、このシステムが弊社からなくなることはないでしょうね」
「就職の報告にきてくれる大学生スタッフもいるんですよ」と語る 営業本部採用チーム 濱中琢磨氏
このようなアットホームな雰囲気作りはスタッフのロイヤルティ向上にも非常に役立っているそうです。同社の新規登録スタッフのおよそ3分の1は友人からの紹介。楽しく、快適に働けたという口コミが広まり、スタッフ間の輪が広がっているのだそうです。さらに、ロイヤルティが向上すれば離職率も低く抑えられます。口コミで自然とスタッフが集まり、既存スタッフの離職率が低くなれば求人にかけるコストの大幅な削減が可能です。これは他業態の企業にとっても非常に参考になる話ではないでしょうか。
では、このようなアットホームな職場の雰囲気作りに必要な要素とは何なのでしょう。
「当たり前のことかもしれませんが、会話は重要です。コミュニケーションと言い換えてもいいでしょうね。それも用件があるときだけこちらから一方的に連絡する片方向ではなく、スタッフ側からも気軽に連絡できるような双方向のコミュニケーション。始業と終業のときの何気ない会話や、研修中の何気ないやり取りで、スタッフの不満や不安を取り除いて安心感を与えてあげることができるのではないでしょうか」
効率だけを追い求め、目先のことにとらわれればスタッフとの密なコミュニケーションは企業にとってデメリットが大きいかもしれません。ただ、長い目で見れば、こうした双方向コミュニケーションによって育まれたヒューマンクオリティこそが企業の宝となりそうです。